八百熊川スタッフのおすすめ読み物「何度読んでも面白い読み物」

冬の八百熊川でのおすすめの過ごし方は、暖房の効いた暖かいお部屋でのんびりと読書をする おこもりステイ。フロントがある菱屋にはライブラリーが併設していて、気に入った小説や雑誌、漫画を選んでお部屋に持っていっていただくことができます。
今回は「何度読んでも面白い読み物」をテーマに、八百熊川のスタッフ5人がセレクトするおすすめの読み物を1冊ずつご紹介します。

堀くんのおすすめ本!地図趣味

僕は小学生の時に配られた緑色の地図帳を、一人暮らしの家に持ってくるくらいに地理が好きです。この本は、京都にある小さな本屋さんで見つけて、その場で一通り読んだけど、結局買ってしまいました。特に好きなのが、冒頭の章「偏愛地図コレクション」です。ありとあらゆる地図を、絵画のように感覚的に紹介されています。江戸時代に作られた、ぽよぽよとした可愛いらしい日本地図、ムカデみたいなアイヌの頃の北海道の地図、河川だけで表現された美しい日本地図も感動です。表紙になっているカラフルな地図はどこのなんの地図だろうかと思う方は是非、手にとって読んでみてください。
また最後の方で紹介されている「壁に潜む地図」も興味深いです。塗料が乾燥してバリバリと剥がれて錆びが浮き出た壁面が、まるで地図のように見える様子が紹介されていて、日常の至る所に地図のようなものが隠れてるんだなと、街の見る目が変わるような本です。

著者:杉浦貴美子 出版社:洋泉社

時岡さんのおすすめ本!ひらやすみ

心がなごむモラトリアム平屋暮らし
舞台は東京のとある町の古い平屋。そこは主人公生田ヒロトが仲良くなった近所のおばあちゃんから、人柄のよさだけでタダで受け継いでしまった場所。その平屋に従姉妹のなつみちゃんが田舎から上京してくるとこから物語がはじまる。都会に取り残された平屋に、生きづらさをもった人達が集まってくるダウンシフト系古民家マンガ。
都会の暮らしやそこで暮らす人達を柔らかく受け止めてくれる平屋が、重要な登場人物のように感じられる古民家好きとしてもとても嬉しい作品です。雨漏りしちゃった屋根を直したり、縁側で包丁研いだりと、暮らしのなかの「手入れ」みたいなものが描かれていて、そんなシーンにもシンパシーを感じたりします。
 現在まだ連載中で単行本は4巻まで発刊されています。ブックスペースにも最新刊まで置いておきますのでぜひ八百熊川に滞在されているときに読んでみてください。都会で読むときとはまた違った印象を受けたりするかも..。

著者:真造 圭伍 出版社:ビッグコミックス

りえさんのおすすめ本!日本発酵紀行

個性的な日本の発酵食にであえる本。それらが生まれた背景や土地の人々の姿をたまらなく疾走感ある文章で紹介しています。著者は発酵デザイナーとして活躍する小倉ヒラクさん。実際に全国を津々浦々巡り取材した記録です。旅の行き先を決めるように訪ねてみたい場所を選んで、好きなところから読むのがわたしのおすすめです。日本人は何を食べてきたのか、発酵と信仰のつながり、辺境を生きる知恵とは…風土や歴史を紐解くように、ふむふむと頷きながら著者のスペシャルガイドで妄想トリップに出かけましょう。

そして、もう一つの楽しみ方があります。本の扉の向こうに待つのは、壮大なスケールで感じる「微生物」とわたしたち人類による生命の世界。著者の言葉を借りると、発酵食はその土地の味覚や暮らしの記憶が保存されたアーカイブ。そして、目には見えない微生物によって生み出される神秘性を纏った世界であり、そういった自然との調和の中で幾人もの先人たちによってつくられ受け継がれた芸術作品のようなもの。大げさなくらいに広大で不思議な世界に没頭していけるのもこの本の醍醐味です。本のページをめくっていくうちに、わたしも人類の一つのピースを預かっているような気持ちになり、自分の身体感覚を試すように今、この瞬間に「自然」からの知らせを受け取り損ねていないだろうかとそわそわし始めます。もはや発酵オタク…

著者:小倉ヒラク 出版社:D&DEPARTMENT PROJECT

山川さんのおすすめ本!「14ひきの〇〇」シリーズ

「14ひきのひっこし」から始まり、現在12冊にもなる「14ひきの〇〇」シリーズ。子どもの頃にきっと誰もが一度は手に取ったことがあるのでは?この絵本は森の奥に暮らす14ひきのねずみの大家族の日常を描いたおはなし。森の中で暮らす家族が美味しいものを見つけたり、兄弟げんかをしたりそれぞれの家族の個性や森の風景がとても細かく描かれています。本文の文章にはないところでいたずらしている子がいたり、小さな虫が隠れていたり、きれいな花が咲いていたりと、読むたびに新しい発見があり、シリーズを読み進めていくうちに14ひきの家族がとても身近に感じられるようになります。
八百熊川の裏手にも里山の森が広がっています。普段から猿や鹿の姿を見かけたり、夜にはフクロウの声が聞こえてくることも。
この絵本を読んでから熊川の里山の森を見上げると、もしかしたらこの絵本にでてくるような家族たちが隠れているかもとワクワクしてきます。逆に熊川トレイルなどで森を楽しんだ後にこの絵本を読むと、絵本の中の景色がよりあざやかに目に浮かびます。八百熊川周辺の里山の自然を楽しみながら何度も繰り返し読みたくなる、そんな絵本です。

著者:いわむらかずお 出版社:童心社

野尻さんのおすすめ本!samepose

八百熊川ストアの出店で偶然、旧友に再会。彼女が立ち上げた出版社で一押しの作品というのでこれは間違いないと思って購入しました。ちょっと頭がもやもやしたとき、ふぅと息を吐きながら肩の力を抜きたい時、頭を一度空っぽにしたい時に読んでほしい、そんな本です。
すべて切り絵で描かれた、116匹の動物たち。太極拳からインスピレーションを受けたポーズを披露しています。作者の方が太極拳教室に実際に通っていて、好きなポーズを動物に表現させているそう。ぜひ宿の中で動物たちのゆるくほっこりする太極拳のポーズを真剣にまねしてみてください。なんだか馬鹿らしいかもしれないけれど、そういうことも楽しみながらやってみたり、それを誰かとシェアする時間って暮らしの中ですごく大切で豊かな時間なのかなって思うんです。食後なんかにやったら健康にもよいかも。日常にくすっとひと笑いユーモアを足してくれるお気に入りの本です。

著者: 鈴村温 出版社:さりげなく

まとめ

今回、八百熊川スタッフがおすすめする「何度読んでも面白い読み物」を特集しました。漫画から絵本まで幅広い読み物が集まりました。普段は忙しくてゆっくり本と向き合う時間が取れない方も、八百熊川にきた時は日常を切り離して、読書に没入するひとときをお楽しみください。

八百熊川
writer
yao-kumagawa

八百熊川は、京都と若狭をつなぐ鯖街道の宿場町<熊川宿>にある古民家宿です。歴史的な街並みが残る熊川宿で、里山で食材を採り、井戸とカマドでご飯をつくり、トレイルを楽しむ。そんな熊川宿ならではの時間をお楽しみください。

八百熊川は、京都と若狭をつなぐ鯖街道の宿場町<熊川宿>にある古民家宿です。歴史的な街並みが残る熊川宿で、里山で食材を採り、井戸とカマドでご飯をつくり、トレイルを楽しむ。そんな熊川宿ならではの時間をお楽しみください。