江戸時代から続く伝統製法『寒晒し』が生む、最高級食材『熊川葛』を味わう旅。
福井県若狭町・熊川宿。かつて鯖街道の要所として栄えたこの地は、日本三大葛の一つに数えられる「熊川葛(くまがわくず)」の産地として知られています。熊川葛(くまがわくず)とは、福井県若狭町・熊川宿で守り継がれてきた最高級の本葛です。厳しい冬の冷水で何度も晒す「寒晒し(かんざらし)」により生まれる、純白の輝きとなめらかな喉越しが特徴です。かつて将軍家へも献上されたこの「幻の味」を、八百熊川では大切に守り、朝粥の「葛あん」としてお届けしています。

日本三大葛の一つ「熊川葛」の歴史と特徴
熊川葛の歴史は古く、万葉の時代にまで遡ると言われています。本格的に特産品として世に知られるようになったのは江戸時代。その品質の高さから、時の将軍家へ献上される品となり、奈良県の吉野葛、福岡県の秋月葛と並び「日本三大葛」の一つとしてその名を馳せました。
かつて鯖街道の重要な宿場町として栄えた熊川宿。旅人たちはここで葛を食し、長旅の疲れを癒したと伝えられています。2016年には、その長い伝統と技術が認められ、「日本林業遺産」にも登録されました。

林業遺産の文字が掲げられた葛加工場

かつて鯖街道の宿場町として栄えた熊川宿。旅人の心身を癒してきた歴史が息づく。
途絶えかけた伝統をつなぐ「熊川葛振興会」
かつては京の都でも珍重され、この地の暮らしを支えてきた熊川葛。しかし、時代の移り変わりとともに作り手は減り、一時はその伝統が完全に途絶える寸前まで追い込まれました。その危機に立ち上がったのが、地元の有志によって平成24年(2012年)に発足した「熊川葛振興会」です。現在は、葛根を掘り起こすところから、葛粉の精製までを一貫して行っているのは、この熊川地区では振興会のみとなりました。古くから続く山の資源を活かし、先人の技術と品質を現代に留めるそのひたむきな活動は、日本の林業の歴史においても貴重なものとして、2016年に「林業遺産」に認定されています。

伝統の灯を絶やさぬよう、自ら山に入り、葛と向き合い続ける熊川葛振興会の皆さん

休憩は、コーヒーと落花生。
葛づくりは、「葛掘り」から
葛(くず)といえば、夏の道路脇で勢いよくツルを伸ばす、どこか「厄介者」のような存在をイメージするかもしれません。しかし、熊川葛の原料となるのは、若狭の山々で40年もの歳月をかけて大地に根を張った、丸太のような葛の根です。良質な葛粉を届けるための仕事は、まだ暖かい時期、山の中を巡り歩き、めぼしい葛に印をつけるところから始まります。秋が深まり、葉が枯れ、根にたっぷりとしたデンプンが蓄えられる頃から、振興会の皆さんは山へ入り収穫に向います。重機も入れない急斜面で、人力で土を掘り起こし、巨大な根を運び出す。その作業は、想像を絶するほど過酷なものです。

重機も入らない急斜面での葛掘り。40年ものの根を掘り起こす過酷な手仕事。

丸太のような大きな葛根
江戸時代から変わらぬ製法「寒晒し(かんざらし)」
運び出された葛の根は細かく粉砕され、いよいよ澱粉を抽出する工程へ。 作業小屋の天井からは、太い綱が何本も垂れ下がっています。その綱をしっかりと掴んで身体を支え、力強く、何度も何度も葛を足で踏み抜いていきます。

根っこの粉砕も振動が直に伝わる過酷な作業


粉砕した葛根


抽出された澱粉は、そこからさらに数ヶ月におよぶ「寒晒し(かんざらし)」の工程に入ります。 沈殿させては水を換え、攪拌して不純物を取り除く。一年で最も冷え込む12月から3月にかけて、この作業を何十回、何百回と繰り返します。指先の感覚がなくなるほど冷たい地下水に何度も晒されることで、濁りは消え、徐々に、純白の葛の姿へと近づいていきます。この冬の厳しさと職人の忍耐だけが、純度100%の本葛を生み出すのです。

大量の青バケツ。一つ一つ、不純物を取り除いては水を変えていく。


不純物が沈殿するまでに1週間ほどかかる。
そうして、地下水で何度も晒し、不純物を徹底的に取り除いた澱粉は、バケツの底に、驚くほど真っ白な塊となって静かに沈殿します。この沈殿した葛を、一つひとつ丁寧に切り出してばんじゅうに並べていきます。

何度も何度も水を換え、透き通る水の向こうに白い葛(まだまだ途中の写真です)

バケツの底から、真っ白な葛を切り出す

ほどよい大きさに分ける。大きすぎると乾燥が追いつかず腐ってしまう。

ばんじゅうに丁寧に並べていく
最後は、乾燥室に葛を並べて、乾燥させます。 山の間を吹き抜ける、心地よい風。この風がゆっくりと水分を飛ばしていくことで、熊川葛は唯一無二の輝きを放つようになります。豊富な冷たい水と、この地特有の谷風。 熊川の風土そのものが生み出した「最高傑作」だからこそ、日本中の一流料理人たちを虜にして止まないのです。

ばんじゅうが整然と並ぶ風景は圧巻の美しさ

約3ヶ月ほど乾燥させる
朝の静寂に物語の続きを味わう「八百熊川の朝粥」
八百熊川では、提供している朝ごはん「朝粥」にかける「葛あん」として熊川本葛をお出ししています。職人が厳しい冬を越えて精製し、熊川の風が仕上げた本葛。 それが温かなあんとなって、炊きたてのお粥を優しく包み込みます。ひと口運ぶごとに、身体の芯からじんわりと温かさが満ちていく。静かな宿場町の朝。 古くからつづく伝統のぬくもりを、どうぞゆっくりとお愉しみください。

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八百熊川は、京都と若狭をつなぐ鯖街道の宿場町<熊川宿>にある古民家宿です。歴史的な街並みが残る熊川宿で、里山で食材を採り、井戸とカマドでご飯をつくり、トレイルを楽しむ。そんな熊川宿ならではの時間をお楽しみください。
八百熊川は、京都と若狭をつなぐ鯖街道の宿場町<熊川宿>にある古民家宿です。歴史的な街並みが残る熊川宿で、里山で食材を採り、井戸とカマドでご飯をつくり、トレイルを楽しむ。そんな熊川宿ならではの時間をお楽しみください。
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